ただひたすらに美味しいものを食べることを目的に、スペインを旅してきた。
旅のメンバーは新卒同期の5人。新卒時代に「香川で1日5食うどんを食べて夜に高知で鰹を食べて〆に徳島ラーメンを食べる」「社内報の記事のために渋谷のビアバーを8軒ハシゴする」といった暴飲暴食実績のあるメンバーを中核として、更にスペイン語話者も含めた最高の布陣。
旅中に食べた美味しかったものを書く。
バル巡り@サンセバスチャン
スペインの美食の街といえば何といってもサンセバスチャン。
もともとリゾート地だったところ「シェフ同士でレシピをシェアする」というユニークな試みを行い、美食の街として町おこしを行った結果、ミシュラン星つきレストランから気軽なバルまで楽しめるフーディー羨望の街になったのだとか。
今回の旅のメインの目的もこちら。現地集合現地解散自由行動という自由すぎる旅だったが、サンセバスチャンだけはフルメンバーが揃った。
サンセバスチャンのバルはタパス(小皿料理)やピンチョス(具材に串を刺したもの)、montaditos(一切れのパンの上に具材をのせたもの)を1品と、チャコリ(微発泡白ワイン)だけ食べ飲みして次のバルへ…というバルホッピングがしやすいのが楽しい。
それぞれのバルに自慢のスペシャリテがあるのでおすすめを頼んでいくのも良し、自分が気になるものだけを食べ続けるも良し。
Goiz-Argi
サンセバスチャンに到着後、最初に訪問。魚介系のピンチョスとチャコリを注文。
「サンセバスチャンに来て本当によかった……」と全員が頷くほどに美味しい。一軒目からチャコリをおかわりして既にご満悦。
Bartolo House
2軒目。ここも色々美味しいが、個人的ベストはなんといってもフォアグラ。
フォアグラってこんなに雑に大量にのっけて食べちゃっていいんだっけ…?という量のフォアグラがパンの上に乗っかってでてくる。5人分のフォアグラがのった皿はまさに圧巻。味は幸福感200%のヤバい味。あまりにも気軽であまりにも美味しいが、気軽に頼みすぎると胃が死ぬので注意(死んだ)。
ちなみに「小皿料理なのでバル巡りがしやすい」は正しいが、1店舗で3品も4品もタパスやピンチョスを食べてると流石に2店舗でお腹いっぱいになる。我々は目の前の食欲を抑えられずこれをやらかした結果、思ったよりはバルを巡れなかった。新卒時代から同じようなことをしている気がする。何も成長していない。
あと別の店だがこの後に食べたジェラートが美味すぎた(そして満腹に)。
Bar Sport
朝9時からやっている。朝の時間を有効活用して、1店舗でも多くバルを巡りたい旅行者向けの心強い味方。自分も2日連続でいった。基本的に混雑しており、人気も高そう。
何でも無難に美味しいが、個人的に美味しかったのはオイルサーディンとアンチョビのピンチョスかなあ。カリカリにトーストされたパンにオイルが染み込んでいて良かった。
Antonio
サンセバスチャン散策中に、カフェの店員にオススメの店を聞いたら強く推奨されたのがこちら。
トルティージャ(スペイン風オムレツ)がこの旅トップクラスの美味さ。
玉ねぎ、パプリカ、ベーコンなどが入ったただのオムレツなのだが、飴色の玉ねぎ?パプリカ?がもはや肉のような旨味と食感。濃いめの味付けで、これをおかずにパンが進む。夜だったら赤ワインも合いそう。美味しすぎてあっという間に完食した。
La Vina
バスク地方といえばバスクチーズケーキも有名。ここはバスクチーズケーキ発祥の店とされる店舗。店内に入ると観光客はみんなチーズケーキを食べている。
チーズケーキは中のトロトロ感が良い。しかし日本のチーズケーキから想像するような甘さはなく、何個も食べれそうな優しい味だなと感じた。ここ以外でもチーズケーキをいくつか食べたが、やはりここが一番美味しかったかな。
Kokotxa Jatetxea@サンセバスチャン
バルだけではなく星つきレストランにも訪問。こちらは1つ星。
コース料理は地元の食材・ワインを中心としたラインナップ。それぞれのメニューを丁寧に説明しくれてとても良かった。
現代スペイン料理に感じる特徴は、個人的には「酸」だ。スペイン料理はイタリアンのような食材を活かすシンプルな調理法がベースにありつつ、しかしフレンチのような重層的で複雑な味わいの要素も多少あり、そしてスパイスや酸味のややオリエンタルな要素が加わっていると感じている。このバランス感が絶妙で、全体としては旨みがガツンとくる万人が好む仕上がりになっており、非常に美味しい。
こういった味の特徴はスペインという国の地理や歴史そのものが表れているようで面白い。古くはイスラムのウマイヤ朝の支配圏にあり、その後レコンキスタによりキリスト教圏へ、そして大航海時代に世界への扉を開き、金銀やスパイスを持ち帰ったスペイン。サンセバスチャンのシンプルな魚料理をベースに、カトリックの美食意識、イスラム教圏や持ち帰ったスパイスのエッセンスを加えると、こんな味になる気がする。文化が交わる場所は飯が美味い。
スペイン料理は他ジャンルに比べて食べ慣れていないせいか味の解像度が低かったのだが、この旅で食べ続けることにより、少し解像度が高まった気がする。
kokotxaの料理はどれも非常に美味しくて大変に満足しつつ、全てが美味しかったので逆に1皿ごとの記憶が薄まってしまったのも正直なところ。
「コース料理は全体のコントラストも大事」などと友人と話したりした。とはいえ、全体を通して非常に良い時間だった。
当初は3つ星レストランに行こうとしていたが、現在3つある3つ星レストランは全て2月のオフシーズン中はお休みらしく、予約できなかった。またオンシーズンに行きたいなあ。
Botin@マドリード
世界最古のレストランとしてギネスに登録されているお店。なんと創業299年。ヘミングウェイやゴヤが訪れていた店なのだそう。店の雰囲気が300年前をそのまま残しているようでとても良い。
スペシャリテは子豚の丸焼き。数人分を頼むと丸焼きをそのままサーブしてくれるそうだが、今回は我々は子豚と子羊を1人前ずつオーダー。
これが本当に美味かった…。シンプルに焼いただけの料理だが、皮のパリパリ感、肉の柔らかさと甘みがもの凄い。人生トップクラスの肉の美味さだった。
また、一緒に頼んだ卵とニンニクのスープも非常に美味しい。パンがスープの上に散らされて、スープと油を吸ってブヨブヨになった状態で出てくるのだが、これが二郎ラーメンのアブラのような食感で、ヘルシーな二郎ラーメンのような食べ心地だった。
Botinの後は近くのフラメンコ鑑賞にいく予定だったが、隙間時間にオシャレバーを見つけて飲んでたら、会話が盛り上がってしまって結局行けなかった。異国の地で友人と人生について語るのもまた乙である。
その他の店
滞在中食べた食事は本当に全部美味しかった。なんというか、他の国だと美味しくはあれど若干口に合わなかったりすることがあるが、スペインの料理は全て口に合うというか体に馴染む感じがした。
ヨーロッパの国々を日本の都道府県に例えると、フランスは京都、イギリスは東京、ベルギーは金沢、ルクセンブルクは富山、そしてスペインは福岡といった様相。飯が美味く、気候が暖かく、そして人が優しい。
今回の旅で行った他の店についても軽く触れておこう。
L'Arrosseria Xàtiva Sant Antoni @バルセロナ
スペインに到着してすぐ、他メンバーとの合流したのがこの店。到着後即スペイン料理にありつけて最高のスタートダッシュ。パエリアの旨味がすごい。
vinitus@バルセロナ。
1日目の夕飯はこちらで。お洒落かつ無難に全部美味しい人気店。
トレドのレストラン。Googleマップみて適当に2店舗ほど入ったがやはりレベルが高い。肉をトマト煮込みしただけでなぜこんなに美味しいのか。
マドリードの市場の4階にあったレストラン。市場にめぼしいものがなかったので訪問。ただのイカのフライが美味い。相変わらずソースが良い。ちょっと酸っぱいアイオリソース。
4 Cats@バルセロナ。
歴史ある地中海料理の店。頼んだもの全て美味しかった。
Ramblero@バルセロナ。
市場の飯屋は世界各国どこに行っても大体クオリティが高い。魚介と白ワインを頼んで大満足。店員が様々な国の言葉で接客してて元気がよかった